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2026年01月30日 (金)

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【2027年度改正】社会保険適用拡大に対する会社の影響は?

こんにちは!グロースリンク社会保険労務士法人です!

2026年も早いもので1か月が経過しました。労働関係の法令においては、大注目であった40年ぶりの大改正といわれる労働基準法改正自体は、2026年通常国会への提出は見送られたものの、改正の検討自体が中止されたわけではなく、2027年以降に持ち越しとなっております。労働基準法の改正が実現すれば、多くの企業に影響を与えることとなりますので、引き続き情報のキャッチアップは欠かせません!

さて本日は、労務に関して未確定な情報ではなく既に確定している動き、来年2027年度における社会保険の適用拡大および今後の見通しについて案内をさせていただきます。

2027年度、社会保険適用拡大は「第2ステージ」へ

2024年10月から厚生年金の被保険者数51人以上の事業所まで適用範囲が広がり、「106万円の壁」対応として、すでに多くの事業所でパート・アルバイトの社会保険加入が進んでいます。
来年2027年度は、この流れがさらに一段進む「第2ステージ」と位置づけられます。

背景にあるのが、2025年6月20日公布の「年金制度改正法(社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律)」です。この改正の中核の一つが、短時間労働者に対する社会保険適用要件の見直しであり、2027年10月以降、企業規模要件の撤廃に向けた段階的な拡大が始まります。

 

現行ルールの整理:短時間労働者の適用要件

まず、2027年度の社会保険適用拡大の土台となる「現行の仕組み」を確認します。

(1) 特定適用事業所の考え方

現在、以下のいずれかに該当する事業所で働く短時間労働者が社会保険(健康保険・厚生年金保険)の対象となります。

  • 従業員数(厚生年金の被保険者数)が常時51人以上の事業所(特定適用事業所)
  • 従業員50人以下だが、労使合意により任意適用を選択した事業所(任意特定適用事業所)
  • 国・地方公共団体に属する事業所

ここでの「51人以上」は、フルタイム+フルタイムの4分の3以上で働く者の人数(厚生年金の被保険者数)でカウントします。単純な従業員数ではない点に留意が必要です。

(2) 短時間労働者の加入要件

上記の特定適用事業所等で働くパート・アルバイトなど「短時間労働者」は、次の4要件をすべて満たすと社会保険の被保険者となります。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上
  2. 月額賃金が88,000円以上(年収約106万円以上)
  3. 雇用期間が2か月を超える見込みがある
  4. 学生でない(ただし、休学中・夜間・通信制等は加入対象)

これに該当するかどうかは、実績ではなく雇用契約上の所定労働時間・所定内賃金で判断し、本人の希望や「扶養にとどめたい」という意向では左右されません。

2027年度にフォーカスされる改正ポイント

2027年度に企業が意識すべき主な論点は、次の2つです。

  1. 「企業規模要件」の撤廃に向けた段階的施行のスタート(2027年10月〜)
  2. 「賃金要件(8.8万円)」撤廃に向けた動き

企業規模要件の撤廃:2027年10月1日からの段階的拡大

年金制度改正法では、短時間労働者の社会保険適用要件のうち、
「厚生年金の被保険者数51人以上」という企業規模要件を段階的に拡大することが定められました。

  • 施行スケジュール:
    2027年10月1日〜2035年10月1日までの間に、従業員数に応じて段階的に適用範囲を拡大
  • 最終イメージ:
    週20時間以上働く短時間労働者であれば、勤務先が何人規模の企業かに関わらず、社会保険の適用対象となる制度へ移行していきます。

2027年度においては、この「段階的拡大のスタート年」である点が重要です。

「企業規模要件の撤廃」は一度にすべての企業を対象とするのではなく、次のように企業規模ごとに段階的に適用範囲が広がっていく見込みです。

施行時期 新たに含まれる企業規模の目安(厚生年金の被保険者数)
2027年10月1日以降 36人以上の企業が新たに対象に含まれる方向
2029年10月1日以降 21人以上の企業が新たに対象に含まれる方向
2032年10月1日以降 11人以上の企業が新たに対象に含まれる方向
2035年10月1日以降 10人以下の企業も含め、規模要件が事実上撤廃される方向

賃金要件(8.8万円)の撤廃:「106万円の壁」解消へ

同じ年金制度改正法では、短時間労働者の要件から「月額賃金88,000円以上」という賃金要件も撤廃することが決まっています。

  • 予定時期:令和8(2026)年10月

全ての都道府県で令和7年度地域別最低賃金が時給1,016円を超えたことにより、週20時間以上働くと全ての労働者が月額賃金88,000円を超えることとなります。そのため、令和7年度年金制度改正法に基づき、令和8(2026)年10月に賃金要件を撤廃する予定です。

つまり、将来的には「週20時間以上かどうか」が主な判断軸となり、「106万円の壁」という表現は制度上は消えていく方向となります。

適用拡大の意義:会社としてどう捉えるか

このように適用拡大が進められることで社会保険加入者数が増加し、企業側から見ると確かに社会保険料負担は増加することとなります。

とはいえ、

  • パート・アルバイトの老後保障や傷病・出産リスクへの備えが手厚くなる
  • 「社会保険に入れる職場」として採用競争力が高まる
  • 雇用調整のための「シフトカット」「就業時間調整」の要請が減少し、安定的な戦力化がしやすくなる

といったプラス面もあります。適用拡大は、人材確保・定着を中長期的にどう考えるかという経営判断とも密接に結びついています。

まとめ:今後の見通しと2027年度の位置づけ

来年2027年度は、

  • 2027年10月1日:企業規模要件撤廃に向けた段階的施行がスタート
  • 賃金要件(8.8万円)の撤廃が施行見込み

という、大きな転換点になります。

加えて、2029年10月1日には「個人事業所の非適用業種の解消(常時5人以上の個人事業所の適用拡大)」も予定されており、被用者保険の対象は、今後10年前後かけて着実に広がっていきます。

企業にとっては、「いつ・どの層が新たに社会保険加入対象になるのか」「それによる人件費・制度運用・採用への影響をどう見込むか」を早めに見立てておくことが、2027年度に求められる視点と言えるでしょう。

グロースリンク社会保険労務士法人では、制度の正確な理解と豊富な経験を通じて、企業の健全な成長をサポートしています!

もし労務に関するお困りごとがありましたらお気軽にお問い合わせください!

 

厚生労働省 社会保険の加入対象の拡大についてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00021.html