2025年05月09日 (金)
従業員の健康を守る!健康診断実施の義務とポイント
こんにちは!
名古屋の社労士 グロースリンク社会保険労務士法人です。
今回は健康診断実施について紹介させていただきます。
会社には、従業員が安全に、そして健康に働くことができるように配慮する義務があります(安全配慮義務)。
その一環として、法律(労働安全衛生法)で、定期的な健康診断の実施が義務付けられています。
健康診断を受けさせる必要がある従業員は、一般的には以下の通りです。
・正社員
・契約社員
・パート・アルバイト:以下の両方を満たす場合
①1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上
②1年以上使用される見込みがある従業員
正社員だけでなく、契約社員やパート・アルバイトでも条件によっては対象となります。
・深夜労働者(夜22時から朝5時までの間に働く「深夜労働」)
どんな種類の健康診断があるのか?
主に以下の健康診断があります。
・雇入れ時の健康診断
会社が常時使用する労働者を新たに雇い入れる際に実施する健康診断です。
労働者の適正な配置や入社後の健康管理の基礎資料とすることを目的としています。
・一般健康診断(年1回)
基本的な健康状態をチェックします。
問診、身体測定、視力・聴力検査、血圧測定、尿検査、胸部X線検査、血液検査などが含まれます。
年齢などによって検査項目が追加・省略されることがあります。
・特殊健康診断(6か月に1回)
特定の有害な業務(例:有機溶剤、鉛、放射線などを扱う業務)に従事する従業員が対象です。
従事する業務による健康への影響を調べるための、特別な検査が行われます。
会社は何をしなければいけないのか?
・対象となる従業員に、決められた時期にきちんと健康診断を受けさせること。
・健康診断の結果について、医師から意見を聞くこと。
・健康診断結果の記録について、原則として5年間保存すること。
・健康診断の結果、異常が見つかった従業員に対し、医師の意見に基づき、作業内容の変更、労働時間の短縮、休業などの必要な措置を講じること。
・健康診断の結果、生活習慣病のリスクが高いと判断された従業員に対して、医師や保健師による保健指導を行うよう努めること。
・常時50人以上の労働者を使用する事業場は、実施した定期健康診断の結果を所轄の労働基準監督署長に遅滞なく報告する義務があります。
健康診断を怠った場合に会社が負うリスクは?
・法律違反で罰金
「健康診断を受けさせなさい」という法律(労働安全衛生法第66条)を守らなかったとして、50万円以下の罰金を支払うことになる可能性があります(労働安全衛生法第120条)。また、労働基準監督署という役所から「ちゃんと健康診断を実施するように」と指導を受け、それでも改善しない場合は、さらに罰金が科される可能性が高まります。
・もし健康状態が悪化したら…損害賠償の可能性
健康診断を受けさせなかったせいで、皆さんの健康状態が悪化してしまった場合、「会社は皆さんが安全に働けるように配慮する義務(安全配慮義務)を怠った」として、会社が損害賠償を請求される可能性があります。適切な治療を受ける機会を失い、もし重い病気になってしまったら、会社の責任はさらに重くなってしまいます。
・会社の信用ダウン
「法律を守らない会社だ」と思われてしまい、会社の評判が落ちてしまう可能性があります。就職しようとする人が減ったり、今働いている人のやる気がなくなってしまうかもしれません。もし労働災害が起きてしまったら、「やっぱりあの会社は安全管理ができていないんだ」と社会から厳しい目で見られてしまいます。
まとめ
健康診断は、従業員の健康を守り、安全な職場を作るための重要な取り組みです。法律で義務付けられていることをしっかりと理解し、適切に実施することが、企業の持続的な成長にもつながります。もし、健康診断の実施方法や結果への対応など、その他、ご不明な点があれば名古屋の社労士 グロースリンク社会保険労務士法人までお問い合わせください!