今回は中小企業の時間外労働の割増賃金率引き上げについてお話します。
2023年4月1日から月60時間超の時間外労働の割増賃金率が中小企業についても
2023年4月1日より、25%から50%に引き上げられます。
時間外労働とは、1週間40時間を超えた労働時間または、1日8時間を超えた労働時間のことをいい、
この時間外労働時間が月に60時間を超えた時間に対して、割増率が50%となります。
割増率の引き上げの背景には、「長時間労働の削減」という意図がありますので、
これを機に「長時間労働を見直す機会」にして頂ければと思います。
長時間労働は、様々な問題を引き起こす要因になります。1番の懸念は、「労働者の健康悪化」です。
事実、WHO(世界保健機関)がILO(国際労働機関)と共同で実施した調査によれば、
週55時間以上働くと、週35~40時間働く場合に比べて、脳卒中を起こす確率が約35%、
心臓病で死亡する確率が約17%高くなるとされています。
また、ペンシルベニア大学での実験では、労働者の睡眠時間が6時間の状態が2週間ほど続くと、
徹夜後と同等の生産性になるとの結果も出ています。
長時間労働による心身の疾病が、労災や会社への損害賠償に繋がるおそれがあることも、
ご存知の通りだと思います。
このように、長時間労働が体調不良や生産性低下に繋がり、
それが更なる長時間労働を生むという悪循環が起こります。
さらに、内閣府の調査では、16~29歳の約6割が「仕事よりも家庭・プライベートを優先する」
と回答していることから、
長時間労働は社員の定着にも悪影響を及ぼします。
長時間労働の見直しは、一朝一夕でできるものではありません。
そのため、2023年4月の「月60時間超の法定時間外労働の割増賃金率」の引き上げを機に、
働き方を見直してみませんか。